中医内科学・耳鳴り、耳聲
いつもありがとうございます。今回は中医内科学より東洋医学的耳鳴りの見解を考えてみたいと思います。
耳鳴り・耳聲
原因分類
1.腎気不足(腎虚)
耳は腎の外竅であり内で脳と繋がる
腎精が損傷されると*髄海(ずいかい)が空虚になり上へ清竅を養えず耳鳴りとなる
(*腎は髄を生ず。腎には「腎精」をストックする作用があり腎精から「髄」が生じ ます。髄とは骨髄・脊髄・脳髄を指し骨や脳と関連があります。骨は髄によって養われ髄が海のように溢れたものを「脳」といい脳の別名を「髄海」と言います。)
先天的要因、栄養の吸収不足、高齢、慢性疾患、房事過多などによる
2,脾胃虚弱
気血を生じる源が不足し経脈が空虚になり上の耳を養えず或いは脾虚で清陽不振になり 清気を上げられず耳鳴りとなる。
3.情志失調
肝気の疏泄が失調し鬱され火に化し或いは激しく怒って気が上逆し肝胆の火 が経絡の流れを乱し耳鳴りとなる
4脾胃湿熱
お酒、味の濃いものが好きであればそれらが集まって湿痰になり時間がたてば火 と化し痰火が上に昇り耳鳴りとなる
5風熱外乗
外来風熱で邪気が鬱され外へ出ず上昇して耳鳴りになる
<まとめ>
*肝腎の衰弱、臓の真気不足、脾胃の気弱で清陽を上げられず清竅を養えない
*外においては風熱の邪が上部を乱して、内においては痰火、肝熱で濁気を動かし上を塞ぐ
<脾腎虚す>
「人が四十になれば陰気が自ら半減する」(素問・陰陽応象大論篇)
人が中年以降には精気が次第に衰えていくので慢性の耳鳴り耳聲の症候が見られ年をとった人に最も多い。精気が弱まり耳まで通し切らないため塞がれてしまう。
治療・・「脾腎キ虚」
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では西洋医学的耳鳴りの見解は
・自覚的耳鳴り
内耳の蝸牛(伝わった音の振動を電気信号に変える器)や脳の中に
ある聴覚中枢の深呼吸や神経の障害による
・他覚的耳鳴り
筋肉性雑音・・・・耳周辺の筋肉の収縮リズムの異変
血管性雑音・・・・耳周辺の血流の異常、拍動に連動
療法・・・ビタミン剤、末梢血管拡張剤、代謝改善薬
<突発性難聴>
主として耳石の異常と思われ、これを支えている、周りの組織の緊張により発生すると考えら れる。<瘀血の発生>
<中年以降>
頭内の血液の流れの音を聞く。
<動脈硬化がおこり、硬い血管をドロドロの血液がやっとのことで流れる音>
血管の硬化による耳なりは ザラザラ、ジー、ピー音。
押さえればガタガタ、ゴトゴト、と短く続く。
寝ると悪化・・・・・静脈のうっ血のため 二次的な動脈血の血流不良。
<キーンと高い音>
加齢と共に耳の機能が衰えてくると聞こえやすい。
聴力が低下し 聞こえなくなった 周波数の音が聞こえる。
(突発性難聴、自律神経失調症、ストレスなどでも)
<ジーと蝉の鳴くような音> 夜間に悪化 突発性難聴
<ボーという低い音>
めまいを伴うメニエール病などでおこりやすい。
首、肩周りの血行不良、気圧の急変化。
<ザーという音>
血行不良、連続的になるのは 脳への血管異常。
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耳鳴りはいろいろな症候が重なりひとつの症状として出てきます。これが原因だと判断しにくい事がなかなか治りにくい疾患の一つです。大方根本にあるのは「腎虚」を伴っていることです。
腎を滋養して(腎の働きを高める。) 耳の通りを良くすればよく
まずは「補腎剤」をベースにされるといいと思います。
次回は中医内科学「鼻炎」です